重複して受け取られた方はご容赦ください。直前のお知らせです。 ===================================================================== 各位 山村です。下記の要領で分子計算研究会を開きます。最初のアナウンスから会場 が変更になったことと、開始時間が通例より少し遅くなっていることにご注意く ださい。 日 時:平成19年6月29日(金)15:00〜18:00 会 場:東京大学 本郷キャンパス 山上会館2F会議室 http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_00_02_j.html 話題 1.研究報告  ・前多 裕介「発生分化の設計原理を理解し、再構築する」東京大学大学院理 学系研究科物理学専攻 佐野研究室  ・平林 美樹「アプタマー転写機構を利用した分子プログラミングによるトラ ンスクリプトーム診断システム開発の試み」東京大学大学院工学系研究科システ ム量子工学専攻 大橋研究室 2.DNA13復習会(田中) 3.事務連絡  ・サマーセミナーの企画について、ほか <付録> (1)前多氏講演要旨  発生現象は多分子, 多細胞間での相互作用が複雑にしかし協調的に連動するこ とで美しい時空間構造を自発的に形成する自然の造形美である。本発表では発生 分化の理解に向けた研究 [1]揺らぎから探る細胞運動の動作原理 [2]遺伝子ネットワーク再構成による多重安定性の構成的理解 の2つに関して紹介したい。 [1]細胞運動は生殖細胞の発生分化やガンの浸潤転移など様々な現象の素過程で あり、その動作原理の解明は高次生命現象の理解に不可欠である。本研究では細 胞膜の揺らぎから細胞運動の動作原理解明を行った。一見するとただランダムに 膜を変形させながら動いているに過ぎない細胞。しかし我々は膜揺らぎの解析に より、膜変形はランダムではなく自己組織的なパターンがあることを見出した。 このパターンは運動方向を制御する機能を果たし、驚くべきことに膜の自己組織 化と運動への制御は2つの分子により統合的に支配されていることが明らかとなっ た。 Y.T.Maeda, et al, in preparation. [2]発生現象、中でも多細胞体制の基本となる細胞分化を司る分子は多数同定さ れているが複雑な相互作用が明らかになるほどに全体像は見えにくくなっている。 分子種に依らない細胞分化を司る普遍的なシステムとは何か?この問いに答える ため、分化を司る多くのネットワークに正の制御が見出されることを手がかりに、 我々は正の制御を備えた人工遺伝子ネットワークを再構築し多重安定な遺伝子発 現(擬似的分化)のin vivo測定を行った。その結果、転写因子を介した転写活性 化が多重安定性に重要であることが実験・理論的解析により明らかとなった。 Y.T.Maeda and M.Sano, J.Mol.Biol. 359, (2006). 前多 裕介, Bussei Kenkyu, 85 (2005). (2)平林氏講演要旨  プログラムされた核酸プローブ群を用いて、特定mRNAのセットを検出する ことにより、トランスクリプトーム診断を行うことを目的としたmolecular automataシステム開発の試みについて解説する。  本システムは、核酸プローブの二次構造の変化を利用してターゲットを認識す ることでプログラミングの制御性を高め、マラカイトグリーンアプタマーの蛍光 増強機能を検出に用いることで蛍光修飾操作を必要とせずにターゲットの検出を 簡便に行うことができるよう設計されている。  本研究の背景と設計コンセプト、現在抱えている問題などについてもあわせて 議論する。 -- 山村雅幸 東京工業大学 大学院総合理工学研究科 知能システム科学専攻 〒226-8502 横浜市緑区長津田町4259 メールボックスJ2-51 Tel/Fax 045-924-5212